金沢文庫 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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追い風と向かい風、ふたつのショートストーリーが楽しめる

今日は身を切るような風が
ビュンビュン吹いています。
こんな日はおうちでヌクヌク
あったかくしていたいものですが…。

1

見てください!!
追い風で笠が飛んでいってしまいました。
どれだけ強い風なのでしょう!!

こちらの作品は
歌川広重の東海道五十三次「四日市 三重川」です。
https://www.kanazawabunko.com/?pid=60513357
左側に屋根や帆柱がある辺りが
四日市湊のようです。

2

旅人のこの表情、たまりませんね。
本人にとっては今まさに
とんでもないことがおきているわけですが、
八の字に下がった眉、少々情けない目、大きく開けた口を見ると
…ごめんなさい、フフッと笑ってしまいます。

本人の気持ち知らず、
笠は風に乗ってリズミカルにコロコロン

願わくば、
笠が川に落ちませんように。

そして
対照的な存在感を放っているのが
画面右、背を向けて立つ孤高の旅人

3

旅人にとって、
この風は向かい風。

かなりの強風のため、
歩く一歩も歩幅が小さいようですね。

合羽も風に煽られ
たっぷりと大きく膨らんでいます。

想像してみてください。
この旅人の表情を。

きっと、
笠を追いかけている旅人とは正反対に
キューッと顔のパーツが寄っているはず(?)。

この二人がいなければ
ただただ強い風が吹きすさぶ
物悲しい風景だったでしょう。

ところが
追い風に追われ、大きく走り出す左側の旅人の躍動感、
向かい風のなかグッとおなかに力が入り立ち止まりそうな右側の旅人。

動と静の対照的な二人の存在が
画面に生命力を生み出し、
面白いのは
ひとつの画面の中に
ふたつの物語を感じるところではないでしょうか。

さて
こちらは彫師さんからお借りした
「摺り返し」というものです。

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当たり前ですが、あらためて伝えたい。
これ、凹凸の凸で彫ったものを摺ってあるのです!!

じっと見れば見るほど
滑らかな肉筆画にしか見えません。

『すごいです!!』と無意識に連呼してしまいましたが
彫師さんはどこ吹く風、
「すごくなんかないですよ」。

皆さん、これって素晴らしい技ですよね!?

浮世絵木版画は絵師さんの名前ばかりが目立っていますが、
神業の彫師さんと摺師さんがいて
はじめて仕上がるのです。

こう言うと彫師さんは
『裏方はね、目立っちゃダメなんだよ』とニッコリ。

う〜ん、そうでしょうか。
描いた絵師さんの作品をもとに
彫師さんと摺師さんのいわゆる『匠の手技』で
あの素晴らしい浮世絵木版画を私たちは手にして見ることが出来る。
だからもっと彫師さんと摺師さんの素晴らしいお仕事を
皆さんにお伝えしたい
と思い、
先日お二方の工房へお邪魔してきました。
その時のレポートはまとめ上がり次第、アップ致します!!
乞うご期待ください!

比較すると楽しいので
並べてみますね。
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