金沢文庫 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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市川男女蔵の奴一平

<寛政六年五月、河原崎座上演の「恋乳房染分手綱」による奴一平を描いた作品で、伊達の与作に味方をする役柄でした。この絵は俗に「赤襦袢」と呼ばれています。この赤襦袢がこの絵を際立たせており、歌舞伎の立回りの一瞬の見得がまた派手にきまった形となっています。この絵では男女蔵の表情が非常に特徴的で、立回りの場面の真剣な表情がにじみ出ています。相手を見据え、一刀を斬りつけようとする瞬間の緊張が顔面に表れ、それと同時に寛政元年に元服したという男女蔵の若さが、口もとや顔の輪郭、鼻の下からアゴにかけての線にはっきりととらえられている表現力にもとても驚かされます。/p>

市川男女蔵は、五世市川団十郎の門人で、若くして名声を得、文化文政時代の名優とうたわれました。文政六年には実悪(じつあく)の「功上々吉」にまでになりました。天保四年六月、五十三歳で没しました。

役者をよりリアルに表現した写楽ならではの表情です。
画を引き立てる鮮やかな赤襦袢
役者市川男女蔵を表す家紋は「三桝に男の字」です。
東洲斎写楽を見出したのは,元祖出版プロデューサー蔦屋重三郎でした。

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東洲斎写楽(とうしゅうさい しゃらく)

生没年不詳
寛政6年(1794)、浮世絵界に彗星のように登場し、わずか10ヶ月の作家活動の間に140数点もの浮世絵を世に送り出すと忽然と姿を消しました。写楽は大判のしかも背景を高価な黒雲母摺という尋常ならぬデビューを果たしました。版元の蔦屋重三郎は、歌麿が重三郎の専属を離れたのちに大々的に写楽を売り出しましたが、次第に大判が少なくなっていきます。その理由として、写楽の人気役者であろうと美化せずに、ありのままを描きとる筆致は、役者ファンをはじめ当時の人々の好みに合わなかったからなのかもしれません。しかし、どれも躍動感にあふれた役者絵は見る者に強烈なインパクトを与え、海外でも高い評価を得ています

東洲斎写楽選 東洲斎写楽

写楽の作品が重んじられる理由のひとつに、その遺品が少ないということにあります。また残念ながら写楽の芸術を理解し、認識したのは日本ではなく海外が先でした。日本人が彼の作品を認めない間に、多くの作品は海外に流れ、その芸術が絶賛されたのです。昭和18年、海外から持ち帰った松方コレクションが博物館に入り、その数も増した程度であり、こうした限られた少数の作品を復刻したのがこの40作品で、いずれも写楽の大傑作です。