金沢文庫 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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松並木を額縁にした富士を見上げて、よっこらどっこいしょ。

5月も、もう後半!
月日の経つのが速いこと速いこと。
この前までお正月で、バレンタインで、お雛様じゃあありませんでしたか???
やれやれ、この勢いでいくと、またお正月だ!

しかし、しかしですね、
焦らず今日を佳き日にして暮らしていきたい、
そうしみじみ感じる金沢ぶん子なのです。

前説、微妙に時間をお取りし恐縮です。
さて皆様、お待たせいたしました。
大人気、青野カエル的解釈で旅する富嶽三十六景!
さぁさぁ今回はどこでしょう!

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カエルです(๑❛ᴗ❛๑)


(北斎 富嶽三十六景「東海道程ヶ谷」)

松並木に富士山、相性ばっちりですね。
THE東海道!と言えば、「東海道程ヶ谷」ではないかしらと
カエルは個人的に思っています。

街道沿いには目印として松か杉を植えよ、
との幕府からのお達しがありましたが、
程ヶ谷から戸塚にかけての松並木はその美しさで有名だったそうです。

富嶽三十六景は富士山が主役なので、
街道の旅の様子を描いたものは意外と少ないのですが、
この絵は当時のそれがよく分かって興味深いです。

江戸時代の旅と言えば、基本は徒歩。
他には、駕籠か馬でした。
馬車とか牛車とかはなかったのですよね。
車輪が役に立たないくらいのハードな路面状況だった、
ということなのでしょう。

特にここ、
程ヶ谷あたりは箱根駅伝で毎年注目される権太坂がある
アップダウンの激しい難所でした。
坂を超えてきたところなのか、馬もお疲れの様子です。
馬子の挿す方向には雪解けの具合が美しい富士山が、
松並木を額縁にくっきりと佇んでいます。


ほら、旦那、今日は富士のお山が良く見えますぜ。
うむ。(旅慣れた飛脚宰領さんはクールな反応)

馬の背中には‘山に三つ巴‘、
腹には‘寿‘で版元の西村永寿堂のアピールです。


ちなみに馬子の衣装をよく見ると
ヒトデのような蜘蛛の巣のような模様です。
これはもしや、有松絞りの中でも今や貴重な蜘蛛絞りでは?
うーん、馬子さんオシャレ。


オシャレと言えば、虚無僧の風呂敷も素敵です。
オレンジとグリーンの市松模様。

彼が見上げているものは、何なのかも気になります。
土留め工事をした塚の上にある石像?
炎髪の青面金剛かしら、ということは庚申塔か。
虚無僧もびっくりの巨大さですが、調べてみても分かりませんでした。
「東海道程ヶ谷」の描かれた場所は権太坂なのか
品濃坂なのか色々な説があって
特定されていないそうなのですが
当時の人なら、この巨大オブジェの存在で皆すぐに
あぁ、あの坂のところだな、と分かったのでしょうね。
この石像が何なのか、今どこにあるのか、どなたかご存じありませんか?
カエルは気になって仕方ありません。


もう一組は駕籠かきの一行です。
草鞋のひもが解けたのか、結び直すついでに一休みです。
そり上げた頭頂部を手拭いで拭う仕草が
ユーモラスでいい味出してます。

旅人たちはしっかり着込んでいますが
働くオジサンたちはずいぶんと薄着ですね。
間もなく春の行楽シーズンがやって来る、
旅にはちょうどいい季節なのかもしれません。