昨日のブログに書いた
江戸時代に摺られた木版画
(本物あるいはオリジナルという言い方をします)と
復刻版浮世絵木版画の
違いについて、
もう少しお話をしたいと思います。
『選ばれる理由』でも
紹介をしていますが、
ここでもお話をしますね。
和紙の黄ばみや汚れ、
色彩の劣化がありますが
オリジナルならではの独特の雰囲気があります。
「この古い味わいがいいんだよなぁ」という方も
たくさんいらっしゃいますよね。
さて、
こちらが
復刻版浮世絵木版画です。
↓
喜多川歌麿 高名美人六歌撰 難波屋おきた
和紙、色彩ともに劣化はありません。
つまり、これは
江戸時代の人たちが
見ていたのと同じ
摺りたてホヤホヤの
状態なのです。
どちらが良いというのではなく、
どちらにも「見どころ」があると思います。
古いものには
歴史があるし、
自分のこの手に入るまで
どれほどの人たちに愛されてきたのだろうと
想像すると、壮大なドラマも感じますよね。
反対に
彫りたて摺りたてホヤホヤの
復刻版浮世絵木版画は、
やはり何と言っても
色彩の美しさが見どころではないでしょうか。
先ほどもお話しましたが
復刻版浮世絵木版画の醍醐味は、
江戸時代の人たちと同じ色彩を
見ることができる喜びだと思います。
また、
江戸時代に生まれた浮世絵文化を
途切れさせないために
作り続けている職人さんたちの
素晴らしい手技を味わえることなのだと思います。
ある時、
お客様から質問をされました。
『復刻版浮世絵木版画って
古い浮世絵木版画を
印刷したものでしょう?』
・・・実を言うと
この仕事に携わる以前、私も
そう思っていたのです!
だから、
そのお客様の気持ちは
よくわかるのです。
まさか
もう一度、いちから彫って
摺っているなんて
以前は思いもしませんでしたから。
そこで
『浮世絵が流行っていた江戸時代の
鮮やかな色を再現したものが復刻版なので、
年季の入った浮世絵木版画を印刷したものの
ことではないんです』
そうお答えしました。
昔の浮世絵木版画を印刷すると
和紙と色彩の劣化は
そのまま見てのとおりに印刷されます。
そこで
復刻版浮世絵木版画ならではの
状態がこちらです。
↓
いかがでしょう、
和紙の裏を見るとご覧のとおり
絵具の淡いにじみがわかります。
これは印刷したものでは見られない現象だと思います。
じわじわと淡いにじみのように
復刻版浮世絵木版画の魅力が
伝わりますように。