重いコートを脱いで
明るく軽いファッションに身を包む
季節がもう間もなくやってきますね。
今回は、
江戸時代のファッションリーダー花魁のなるほど話です!
カエルさんは浮世絵はもちろんですが、
アートの世界が大好きな女性。
さぁ、カエルさんに
再び江戸時代に連れて行ってもらいましょ!
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浮世絵の2大モチーフといえば、役者絵に美人画。
美人画と言えばやっぱり、吉原のおねえさん方です。
豪華な着物を颯爽と着こなし、最新のヘアメイクに高価なアクセサリー。
男衆はもちろんのこと、
女の人達にとっても憧れのファッションリーダーでした。
当時の吉原は、誰でも入れる無料のテーマパークみたいなところでした。
浅草寺の観音様を拝んでから吉原見物へというのが、江戸の観光コースだったようです。
お客の7割は「素見」(すけん)と言われるひやかしで、
メインストリートで行われる四季折々の演出や年中行事を楽しんだり、
格子を覗いて遊女たちにちょっかいを出したりしていたのかもしれません。
その中でもメインイベントといえば、花魁道中でしょう。
豪商などのお大尽が遊びに来た時にしか見られない、豪華絢爛なパレードです。
花魁(おいらん)は、いつでも見られる格子の中の遊女とは格が違います。
会いに行けないアイドル、銀幕のスターのような存在ですかね。
派手派手で複雑な、花魁のファッション。
一体何がどうしてどうなっているのか、少し見てみましょう。
まずはゴテゴテと飾り立てられた髪の毛、すごく重たそうです。
伊達兵庫(だてひょうご)に結った髪に、
耳かきみたいな形のかんざしを前髪に左右3本ずつ、
後ろにも3本ずつで計12本。4本ずつで16本なんて花魁も。
サンゴ玉のかんざしを2本、松葉型のかんざしを2本頭頂部に挿し、
笄(こうがい)という棒を1本髷に挿す。
最後に櫛を2~3枚挿せば、花魁ヘアースタイル、営業用フル装備バージョンの完成です。
それぞれべっ甲や銀製で、首から上だけで家一軒と言われたそうです。
帯はまな板帯と言って、豪華な刺繍やら立体的な飾りやらがついています。
結び目を前にするのは、大名や公家など家事をしなくてもいい上流階級の女の人が前で結んでいたのに倣ったとか、
諸説あるようですが、打掛を着たら帯が見えなくなって勿体ないので前で結んでいる、というのも合理的な理由かなと。
その上から羽織る打掛がまた豪華です。
裾には「ふき」がたっぷり入ってボリューム感があり、なんともゴージャス!
柄は金銀の摺箔、縫箔、ド派手な刺繍入り。
足元は3枚歯の黒塗りの下駄、高さは18cm以上の物もあったとか。
厚底にもほどがあります。
その下駄を操って「外八文字」(そとはちもんじ)という例の独特の歩き方で練り歩くわけです。
総重量は30㎏以上あったそうで、物凄い体力が必要だったのですね。
年季明けが27才くらいだったそうで、なるほど若いうちでないと務まらない重労働です。
次回は、ミステリアスな花魁の一日に密着したいと思います。