金沢文庫 | 復刻版浮世絵木版画専門店
■ 金沢文庫ブログはこちら!ほぼ毎日更新中。 ■

わぁ、お上手!「鳥獣人物戯画」カエル的解釈いたします

漫画って、子供だけじゃなく
大人も夢中になってしまいますよね。
はい、今回もアート大好き青野カエルさんが
江戸の人気漫画の世界へご案内いたします!

では、みなさんご一緒に!

*******

国宝「鳥獣人物戯画」は、甲乙丙丁の全4巻から成る巻物です。
近年の修復で科学的な調査が行われ、色々な新発見があったそうです。

中でも一番有名なのが
甲の巻、兎、蛙、猿の可愛いやつです。
そして、その絵の順番が違っていたというのです。
一体、どういうことかと申しますと・・・


↑このままだと見にくいので、クリックし拡大して見てくださいね

(甲巻:第1紙-第4紙前半 谷川で水浴する兎と猿、鼻をつまんで水に飛び込もうとする兎、柄杓をもつ兎、猿の背中をさするもう1匹の猿、鹿に馬乗りする兎と、後から水を引っかける猿。ウィキペディアより画像引用/テキスト引用

鳥獣戯画は一枚60cm位の紙に絵を描き、それをのりで
横に繋げていって巻物に仕立てています。
張り合わせたのりが、時代がたつと剥がれてくるのですね。
戦乱や火事などもあって、
後の世の人が修復しようとしたときにはバラバラになっていたのでしょう、
あぁ、、、順番を間違えて繋げてしまったようです。

これは顕微鏡で紙の繊維を観察し、はじめて分かった事実。

本当は2巻位のボリュームのものを
欠けた部分を描き足したりして
何とか体裁を整えたのではと考えられるそうです。

他にも描かれた用紙がお寺で使っていた再生紙だということも分かったそうです。
このことからは、鳥獣戯画がその時代の他の絵巻物とは
成り立ちが違うのだということが分かります。

平安時代末期に盛んだった絵巻物は、
時の権力者などの注文主がいて、
最高の宮廷絵師や仏画師が最高級の紙や絹に描かせたものでした。
現存する「源氏物語絵巻」など美しい彩色が施され、物語も書かれています。

一方の鳥獣戯画は、
再生紙に墨だけの白描画(はくびょうが)で
詞書(ことばがき)もありません。
絵や話の内容を見ても、偉い人の注文にはとても思えません。
密教の絵師などが仕事の合間に楽しんで描いたものを、
周りの友達やお寺にいる小坊主さんなんかに見せていたのではないかなと思うのです。

わあ、お上手!もっと描いて!
私も続きを描いてみよう。
今度は蛙と相撲を取らせたら?

などという感じで、できたものではないかと想像してみたりします。
あまりの出来の良さ、可愛らしさにちゃんと清書して絵巻にしてとっておきましょう、
というのが鳥獣戯画甲巻だった、なんてね!

ちなみに鳥獣戯画は作者も描かれた年も目的も
未だに何も分かっていない謎の国宝です。
ただ分かっているのはそれが描かれた時から現代まで
ずーっと愛され続けているということです。

コミカルなキャラクター、
吹き出しや効果線、
笑いを誘うオーバーアクション、
エピソード終わりの草木を間に挟んだ場面転換の仕方。

現代の漫画といっても通用するようなテクニックがたくさん詰まっている国宝。
クールジャパンの名にふさわしい、他にはない世界に誇れる貴重な遺産です。

猿の僧正が法会のお礼をたくさんもらっていたり、
蛙殺害事件が起こったり、
蛙が相撲でズルをしたりという場面などから、
当時の世相を風刺したのだとか、
仏教の講話に使ったのでは、などの説もあるようです。

しかし、800年以上も守られて修復され、
愛され続けているのはやはり誰が見ても
文句なしに、面白いから!可愛いから!ではないでしょうか。