岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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行き交う人たちの「今日」を感じる絵です

なになに?? 天気予報では、初夏を思わせる気温ですって。
まだ4月なんですけれどねぇ。。。
これじゃあ、本当の夏が来たら
一体どれほどの暑さになるんでしょ?

一抹の不安を感じながらも、
見上げた青空に、心はカラッと明るくなります。

さささ、適度な水分補給をして、
健やかにまいりましょう!

アート大好きカエルがご案内する
北斎さんの旅、はじまりはじまり〜!

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駿台(すんだい)とは、
JR御茶ノ水駅を中心に東は秋葉原駅、
西は水道橋駅までの範囲の南にある台地、駿河台のことです。

明治大学や日大の理工学部があり学生街らしく、
楽器屋さん、スポーツ用品店などが多く、
駿河台下まで降りると神田神保町の
古書店街が広がるアカデミックな土地柄です。

江戸時代はお城の内堀と外堀の間で、
上屋敷も多い武家地でした。

この絵は外堀である神田川を挟んで、
北側の本郷台地から駿河台、三崎町あたりの
武家屋敷ごしの富士山を描いています。

神田川が、元は駿河台と地続きの神田山を
二代秀忠が伊達政宗に命じて
開削させた人工の渓谷なのは有名なお話。
聖橋の上から御茶ノ水駅の方を眺めると、いつも思うのですよ。
すっごい谷だなぁ、よく掘ったなぁ、大変だっただろうなぁ、と。

さて、ロケ地ですが、今回は「湯島聖堂」「昌平坂学問所」と
その隣の「桜ノ馬場」までの一連の並びよりも西から、
水道橋の手前の上水樋よりも東の600m位の狭い範囲に絞れるのかな、
なんて考えています。

しっくりくるのが、右の大きなお屋敷が
定火消御役屋敷の内藤様のお宅で、
左側の緑の土手の向こうは桜ノ馬場。

現在の地図でいうと、本郷通りから神田川に向かって、
順天堂大学病院と東京医科歯科大附属病院の間の坂道ではないかと。

600m内で他のところは中小の旗本、
御家人のお宅が塀を接してひしめき合っているような
街並みが見て取れるので、それ以外の場所ということで
ピンポイント妄想してみました。

あるいはその先にある、その名も「富士見坂」、かもしれませんが。
もちろん、今はいずれにしても富士山は全く見えません。

さてさて、お次は行き交う人々に注目してみましょう。

棒手振りや行商人などに交じって、右から2番目の人。
黒い股引に羽織姿の様子から、
どこぞの御用聞きの親分さんかとお見受けします。

下を向いてトボトボと、お疲れのご様子。
夕べはちょっと飲み過ぎましたか、見廻りご苦労様でございます。

その前を行く巡礼姿の人、中山道へと続くこの坂道を上って、
向かうのは秩父か信州か。
道中お気をつけて、観音様のご加護がありますように。

そのさらに前には、扇子で日差しを避けている
大きな荷物を背負った商人風の人。
旅装束なので、やはり中山道へ向かうのでしょう。
商いがうまくゆくといいですね。

坂の上からはお武家様のご出勤、裃袴姿でお供を連れています。
当時のお武家は公的な外出の際、
お一人ではダメだったそうですね。
供侍、槍持ち、草履取り、鋏箱持ちなど、
4~5人は連れていたらしいのです。

様々な人が行き交う富士見の坂。
お江戸は今日も平和です。