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難波屋のアイドル、おきたの恋と強運

浅草の水茶屋「難波屋(なにわや)」の看板娘、おきた。
歌磨に描かれたことで、おきたの人気はうなぎ上り。

この作品は「高名美人六歌撰 難波屋 おきた」です。
(詳しい作品情報はこちらです↓)
https://www.kanazawabunko.com/?pid=60513419

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看板娘のおきたをひとめ見ようと集まったお客の
対応で店は連日大賑わい。

あまりの騒々しさに困り果てた店主が
野次馬たちを追っ払うために水を撒いてもなんのその、
おかまいなしに用水桶の縁に上がってまで覗こうとする人もいたのだとか。

アイドルと化したおきた。
茶托を神妙に持ち、初々しさと奥ゆかしさが漂っていますよね。
この作品のおきたは16歳あるいは17歳の頃。
未婚女性のしるしの島田髷(しまだまげ)がよく似合っています。
桃色の結いも可憐なおきたにぴったり。

さて、
こちらに描かれているのは「十八歳の難波屋おきた」
あの人気者のおきたがどうしたことでしょう!!
がっくりと首を曲げ、うなだれてボーッとしています。
(詳しい作品情報はこちらです↓)
https://www.kanazawabunko.com/?pid=60513429

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判じ絵には、おきたが朝顔というあだ名の男性に好かれたものの
おきたはそれに応じなかった、という意味が描かれています。

心もとない表情で火鉢の火をくべながら、
目線は恋文らしきものへ。
長い長いその恋文は、きっと朝顔からのものでしょう。

茶屋のアイドルとして、
たくさんの人からラブコールを貰っていたおきた。
きっと色々な男性から恋文も貰っていたことでしょう。
でも、おきたの心を揺らしているのは
ただひとり、朝顔だったのですね。
悲しいことに朝顔の気持ちに応えられない事情があったのでしょう。

こころなしかおきたの髪型も乱れて見えます。
着物の色合いもずいぶんと地味なものに。

それにしてもアイドルのおきたの心を
ここまでかき乱す朝顔とは
いったいどんな男性なのでしょうね!?

さて、いっときは恋に悲しんだおきたですが、
こちらはどこか吹っ切れた印象を受ける
19歳おきたの「名所腰掛八景 鏡」です。
(詳しい作品情報はこちらです↓)
https://www.kanazawabunko.com/?pid=60513435

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良かった、髪の結いも明るい色に戻っています。
着物もおきたによく似合う紅色。

鏡にうつる自分を見つめ、
なにを想っているのでしょう。

襟元をつかむその指先に
柔らかな女性美があらわれていますね。

おきた人気のおかげで水茶屋の難波屋は大変潤い、
おきたは「金箱娘」とも呼ばれたとか。

そもそも歌磨に何度も描かれるほど魅力のあるおきた。
ただ美しいだけではなく、
きっとおきたのなかに人を惹き付ける
強い気運があったのかもしれません。

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