秋たけなわの今日この頃、
風もひんやり冷たくなって
心なしか髪が乾燥気味です…。
乾燥対策でオイルを髪につけながら
ふと思ったのです。
江戸美人たちの髪型ってスゴイ!
あんなに手の込んだ髪型を作る
そのテクニックに今さらながら感動と驚きを覚えました。
しかも、あの髪型で
毎日ふつうに暮らしていたことにも驚愕です。
そこで
今回は江戸美人たちの髪に注目してみました。
こちらは寛政期の三大美人のひとり、
難波屋おきた、高島おひさと並ぶ
富本豊雛(とみもと とよひな)です。
新吉原の廓芸者のなかでも
断トツ人気だった豊雛さん。
歌や三味線、踊りなどの芸事に非常に長け、
特に浄瑠璃の冨本節を巧みに語る大人気芸者だったのです。
こうした芸者さんや歌舞伎役者さんは
プロの人が髪を結ってくれたのですが、
庶民たちは自分で結っていたのですね。
江戸時代の後半には庶民の間にも
プロの髪結いが登場し、
それが美容師さんの始まりなのだそうです。
さてその髪型ですが、
身分や階級、年齢や職業に
よって違いがあったそうです。
興味深いのは
未婚か既婚でも髪型が違うため、
ひとめ見ただけで
その女性のことはだいたいわかったのだとか。
ちょっとコワイですね!!
こちらはご存知、
みんなのアイドル難波屋おきたさん。
おきたさんの髪型は、島田髷といって
日本髷の代表的なスタイルです。
未婚女子たちはこの島田髷をしていました。
左右に髪を大きく張り出し
なおかつ向こう側が透けて見えるように結う。
…これって神業じゃないですか!?
おきたさんもちゃんとむこうが透けていますが、
先に登場した富雛さんがもっとわかりやすいので
再登場↓
ちゃんと向こうが透けています。
しかし神業とはいえ、
髪を結うのはあまりに手間がかかるため、
毎日結い直すことなんてできませんでした。
ではどうしたのかといいますと
一度結い上げたら、一ヶ月くらいはそのままの
形でいられるように
油を大量につけてガチガチに固めていたのです。
夜眠るときも髪型が崩れないようにするため、
時代劇にも出てくるあの小さくて高さのある箱枕を
頭ではなくて首に当てて眠ったのです。
こんな感じですね↓
うーん…首が痛そうな気がしますが、
皆さんはどう思われますか?
さて、
結って出来上がった髪型を
ガチガチに油で固めていたため、
髪を洗うのは月に一度だったのだそうです!!
人によっては月に二回くらいでしょうか。
固まった油を洗い流すのは半日がかりの作業だったため、
頻繁に洗髪は出来なかったんですね。
たらいにお湯を張り、
固まった髪にお湯をなじませたら
『布海苔(ふのり)』という海草と『うどん粉』を混ぜ合わせ、
シャンプーのように髪になじませて洗います。
お湯ですすいで、最後に水を流すと
髪はツヤツヤ、気になる匂いもスッキリしたそうです。
月に一度の洗髪。
あぁどんなに気持ちが良かったことでしょう!!
髪を結うのも大掛かり。
髪を洗うのも大掛かり。
江戸美人たちの心の根底にあったのは
いつも美しくありたい
そんな心意気だったのでしょうね。
歌麿は江戸美人たちの美への追求を
とても優しい視線で描いていると思います。
そこであの豊雛さん、もう一度登場です。
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