岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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晩御飯は貝の蒸したのと ワカメのお汁でいいわね

ゴールデンウィークが始まりましたね!

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

青空、新緑、あぁ気持ちいい〜〜

半袖で出掛ける心地よさ。

もう夏は目の前ですね。

さぁ、アート大好きカエル女史がナビする
「青野カエル的*解釈の北斎・富嶽三十六景の旅」始まります!

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登戸浦は今の千葉県千葉市中央区の海岸沿いの地域です。

北斎の描いた内房と三浦半島の鳥瞰図
「総房海陸勝景奇覧」でいうと、
船橋から幕張(馬加リ)、検見川、登戸、寒川、
蘇我(曾我野)という並びで湊があって、
東京湾の奥はそのあたりまで
ずーっと遠浅の海が続いていたようです。

今では信じられませんが、品川や深川でも
潮干狩りが出来たそうです。

江戸っ子の春の二大イベントと言えば、
お花見と潮干狩りだったとか。
しかも潮干狩りの方は、ただで食材ゲットの
お得なレジャーとして大人気でした。

「東都歳時記」によれば、お弁当やお酒を持って
早朝から船で沖へ繰り出し、潮が引くのを待つのだそうです。
昼になれば江戸湾は巨大な干潟と化し、
アサリ、ハマグリがざっくざく、ヒラメやタコやウナギまで、
取り放題のパラダイスです。

採ったそばから船の上で、浜焼きパーティー。
裾をからげたお姐さんを肴に、
旦那衆のお酒もすすみます。
露出多めで開放的、若者たちには恋の予感も。
どこまでも遠浅なので
ちびっ子でも安心、ファミリーにも人気です。

夕方、潮が満ちてくると、お土産をたっぷり持って船で戻る、
一日がかりの楽しいイベントでした。

「登戸浦」ではどうでしょう。
イベントというより、海岸沿いに住む人々にとっての
日常の風景という感じ。
ほのぼのとした雰囲気に、
富士山ものんびりと春の海を満喫している様子です。

「今日も晩御飯は貝の蒸したのと
ワカメのお汁でいいわね」ってなもんでしょうか。
近所のおかみさんにとっては、
スーパーでのお買い物みたいなもの。

お父さんの職場も登戸浦。
駕籠一杯の大きな貝はハマグリでしょうか、大漁、大漁。

船から狙うのはヒラメかな?
干潟の漁業も盛んな土地でした。

海の中に建つ鳥居は、登渡神社のものか、
稲毛の浅間神社のものか、諸説あるようです。
北斎の鳥瞰図「総房海陸勝景奇覧」には寒川の前に
鳥居の絵が描かれているので、寒川神社のものかもしれません。

この時代、この地方にはお神輿を担いで海に入る
「御浜下り」(おはまおり)という行事があって、
房総全体では10社以上の神社の祭礼で行われていたそうです。
海岸に鳥居を持つ神社もいくつかあったようですから、
特定は難しいのかもしれません。

全国的に見ても、厳島神社をはじめ、
日本人は遠浅の海や湖に鳥居を建てがちです。
海辺に大小の岩が並んでいると、しめ縄で繋ぎがちだし。

現在千葉市では、江戸時代の海岸線は
全くと言っていいほど見られません。
昭和30年後半には埋め立てが進み、
干潟も海辺の鳥居も無くなりました。

私、カエルはゴールデンウイークには毎年、
九十九里に焼きハマグリを食べに行くのですが、
いつからか白ハマグリが幅を利かせています。
白ハマグリはハマグリじゃありませんから。
ホンビノス貝ですからね。

干潟、埋め立て過ぎです。
貝好きとしては、江戸時代の食べ放題干潟にジェラシーを覚えます。