寛政六年五月、河原崎座上演の「恋女房染分手綱」に出る役を描いた作品です。由留木家を狙う悪人、鷲塚官太夫の弟の役で、これは大敵でなく端敵です。小柄できびきびした役者ですが、安手で小敵の役柄に適した虎蔵の面目がよく出ています。端敵の役柄を的確に描いているため、この絵は歌舞伎味あふれた役者絵として人気があります。顔の化粧はトノコを使い、月代も濃く、青黛それに髭のあと。濃紫の着物、黒の裃など色彩の濃さが、絵に歌舞伎味をさらに与えています。下唇をかみしめ、眼をむき、その眼の目ばりの赤が派手で表情も華やか。写楽第一期中の佳作といえます。
谷村虎蔵は、谷村楯八の門人で大阪の小芝居出で出世した上方役者です。寛政四年、二十四歳で江戸へ下り、同七年に二世大谷友右衛と改名しました。愛嬌があり安敵を得意とし、所作事にも長じており、文政十二年には実悪、敵役で「功上上吉」になりました。天保元年春、七十歳のとき大阪で没しました。
商品サイズのご案内
摺られております。
専用額の大きさは横44cm×縦37cmとなっております。
サイズについての詳細はこちらをご覧ください。
制作動画のご紹介
専用額のご案内
浮世版画にぴったりな専用額をご用意しました。
シックな漆塗風の木製枠は淡い色合いの浮世絵を引き立て、
和洋問わずお部屋に彩りを与えてくれます。
アクリル仕様は紫外線から大切な作品を守ります。
アクリル仕様は耐久性があり、割れにくく、紫外線から作品を守るUVカット効果を施しております。
輸送に長時間かかる海外への発送などにも最適です。御用途によってお選びくださいませ。
お届け後すぐに飾れます。
額装を施すことによって、お届け後お気に入りの場所にすぐに飾っていただけます。
心を込めたプレゼントを贈られた方も開封後すぐに飾ってお楽しみ頂けます。
東洲斎写楽(とうしゅうさい しゃらく)
生没年不詳
寛政6年(1794)、浮世絵界に彗星のように登場し、わずか10ヶ月の作家活動の間に140数点もの浮世絵を世に送り出すと忽然と姿を消しました。写楽は大判のしかも背景を高価な黒雲母摺という尋常ならぬデビューを果たしました。版元の蔦屋重三郎は、歌麿が重三郎の専属を離れたのちに大々的に写楽を売り出しましたが、次第に大判が少なくなっていきます。その理由として、写楽の人気役者であろうと美化せずに、ありのままを描きとる筆致は、役者ファンをはじめ当時の人々の好みに合わなかったからなのかもしれません。しかし、どれも躍動感にあふれた役者絵は見る者に強烈なインパクトを与え、海外でも高い評価を得ています
東洲斎写楽選 東洲斎写楽
写楽の作品が重んじられる理由のひとつに、その遺品が少ないということにあります。また残念ながら写楽の芸術を理解し、認識したのは日本ではなく海外が先でした。日本人が彼の作品を認めない間に、多くの作品は海外に流れ、その芸術が絶賛されたのです。昭和18年、海外から持ち帰った松方コレクションが博物館に入り、その数も増した程度であり、こうした限られた少数の作品を復刻したのがこの40作品で、いずれも写楽の大傑作です。