岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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しばしのお別れだぁ、お江戸の富士に吉原の町

どよよ〜んと蒸し暑かったり、
そうかと思えば朝晩はひゃ〜と冷んやりしたり、
今くらいの時期って、体調管理が大変!
金沢ぶん子、そんな時はアロマテラピーのチカラをかります。
ローズマリーとラベンダー、そこにレモンをミックスすると
あら不思議、ここは爽やかの国かしらん。。。

さぁ、『アート大好き青野カエル的解釈の北斎・富嶽三十六景の旅』いきます!
ちょいと意味深な美人農婦も出てきますよ。

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「従千住花街眺望ノ不二」の描かれた場所は、
江戸四宿のひとつ、「千住宿」のちょっと手前の街道沿いです。


(北斎 富嶽三十六景「従千住花街眺望ノ不二」)

遠景に見える板塀の中が花街の新吉原で、
塀の前の緑が日本堤と山谷掘、今の土手通りです。
吉原の板塀の北東面から伸びる畦道には、
農家の娘さんが2人並んで、行列見物しています。

この2人、よく見てください、やけに色白で美人じゃありませんか。
足なんか組んじゃって、帯は前で結んでいます。
流し目でお侍たちを品定めでもしているかのようにも見えますね。


もしかしたら北斎さんの洒落で、
農婦の姿を借りて塀の中のお姐さん方を意識して、
わざと色っぽく描いているのではないかしらん。

そして、この畦道と手前の街道との交差点が、
今の東浅草2丁目の交差点だと思われます。

大名行列のゆくこの道、今の吉野通りは江戸の五街道の一つ、日光街道。
江戸時代の住所で言うと、浅草山谷町付近、江戸八百八町の北限です。

楽しかった江戸の暮らしとはしばしのお別れ、
鳥啼魚の目は泪の、千住大橋はもうすぐです。
鉄砲隊の皆さんも名残惜しそうに吉原、
・・・いえ、江戸の方角を振り返ります。
富士のお山もそろそろ見納めですね。


火縄銃を収納している赤い袋は、
二代秀忠公から拝領した猩々緋(しょうじょうひ)の皮袋かもしれない、
ということで、この図は盛岡藩の参勤交代を描いたものだとも。
もしそうなら、盛岡城までは139里、556㎞、12日以上の長旅の始まりです。
大変だぁ、岩手まで歩きなんて凄すぎます、昔の人。

さて、「従千住花街眺望ノ不二」を見て、
カエルが面白いなと思ったのが、「お侍のコピペ」です。


前を歩く水色の衣装の二人、頭と手の角度は若干違いますが、
見てください、そっくりコピーしたかのよう。


鉄砲隊の一人目は首から下が、四人目、六人目と同じ。
その四人目と六人目はコピぺ。
二、三、五人目も完全にコピペ。
そして七人目は左手をかざしているけど他は、鉄砲隊の一人目のコピー。

面白いなぁ。
コピーとペーストで同じ図柄が繰り返されていることで、
絵にリズムと楽しさを感じます。
『北斎漫画』などから、色々な人物を切り取ってコピペで
大名行列を作ったら楽しそうだな、なんて、ふと思ってしまいました。
北斎はパソコンのない時代に手動でやっていたのですね、コピペ。

大名行列とはいえ、北のはずれの田舎道だからでしょうか、
何だか統率が取れていなくて、ダラダラとのんきな行進です。
江戸に未練を残すものもいれば、故郷に帰れるとウキウキな人、
長い旅路を思いげんなりしている人もいるでしょう。

それを見送るのは、
江戸の一大テーマパークの吉原と、やけに艶っぽい二人の農婦。
そして東北からは見えない、お江戸の富士山です。

道中、お気をつけて~。

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カエルの旅、次回もお楽しみに!