岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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北斎さんなら、今日は下目黒に出かけましたよ

みなさん、もう1月の下旬ですってよ!

先月の今日はクリスマスイブだったんですねえ。

何てまぁ早いこと、早いこと。

この調子でいったら

あっという間に

GW、夏休み、ハロウィン、クリスマス、お正月。。。。

えぇい、

月日に流されるんじゃなくて

今日という1日を大切に生きましょう。

北斎さんみたいに

好きなことを思いっきり追求しましょうや!

はい、そこで

アート大好きカエル女史がナビする

「青野カエル的*解釈の北斎・富嶽三十六景の旅」

はじまりはじまり〜〜!

* * * * * * * * *

ハイセンスでオシャレな
住みたい街ランキング上位の目黒。

↑ 江戸時代はこんな感じでした。

武蔵野段丘の南東部の端に位置しており、
南北に流れる目黒川が台地を削る、坂の多い地形です。

現在のJR目黒駅周辺の高台には、お大名の下屋敷が
建ち並んでおり、昔から高級住宅地の素養十分な
土地柄だったことがうかがえます。

一方で目黒川の西側は朱引外(しゅびきそと)、
つまり江戸ではない地域とされていました。
高台には畑が広がり、江戸市中に大根、ナス、ウリ
などの野菜を供給する農村地帯です。

また、目黒といえば目黒不動や蛸薬師など多くの
有名寺社や、行人坂の夕日が丘などの景勝地もあり、
江戸郊外の人気の行楽地としての顔もありました。

北斎さんも、江戸っ子に人気の観光地からの富士山を
描いてやろうと、目黒の地をロケハンしたのでしょう。
行人坂の富士見茶屋や太鼓橋には目もくれず、
名も無き村の丘陵に見え隠れする
富士山を選ぶところはさすがです。

常人とは違うその感性、好き

でも、さすがにこれではただの田園風景、
どこだか分かりづらいですよね。


そこで登場するのが、二人の鷹匠です。
江戸の郊外には将軍様が鷹狩りをなさるタカ場があって、
目黒筋もその一つでした。
東大教養学部がある駒場のあたりなどは、
16万坪にも及ぶ広大な原野だったそうで、
キジやらウサギ、イノシシもとったということです。

この二人、お揃いの制服姿で
鷹の訓練に行くところでしょうか。
手に持っている棒は、策(ぶち)という道具で、
鷹のお手入れに使います。

鷹匠たちの横(右側に居ますよ)で顔色を窺っているような
そぶりの人がいますね。
地元のお世話役でしょうか。
鷹は将軍様のペットなので、鷹匠の中には
「お鷹様に無礼は許さん!」みたいに
威張ったりする人もいたらしいです。

さて、この絵の構図を見てみましょう。
北斎先生、お得意の「ぶんまわし」(コンパス)を
使っているようです。

まずは、半径を紙の縦の長さの三分の二に決めます。
次にそのぶんまわしで、紙の横幅の真ん中、
上端を中心に半円を描きます。
円周に沿って、左右に丘を描き、
そのすり鉢状の底に富士山を描きます。

上部に開いた半円形のスコンと抜けた空間が、
この絵全体に広がりを感じさせる効果を
もたらしているように見えます。

左下の家々と右上の松を対角に置き、
ボリュームを調節している。
左の丘の上の農夫と右下の三人も、
対角に配置してバランスを取っている。
中心のボトムには、赤ん坊を背負った農婦と
子どもを置き全体の重心となっている。

なんとも、見ていて気持ちのいい、
しっくりと落ち着く絵なのは、
北斎先生の細かな計算によるものなのかもしれません。

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カエルの旅、次回もどうぞお楽しみね