岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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色っぽいお姐さんを描いた「青楼十二時」シリーズ

みなさまお元気でいらっしゃいますか?
さて今回は久しぶりの美人画です!

アート大好きカエル女史がナビする
歌麿の世界へどうぞ〜!


「青楼」とは吉原の遊郭のことで、
そこで働くお姐さんがたの暮らしぶりを
時間ごとに描いたのが、「青楼十二時」シリーズです。
子丑寅卯と十二支分のきれいなお姐さんたちが拝めます。

バッチリ着飾った華やかな姿はもちろん、
身支度している場面や休憩中の様子など
プライベートな部分も描かれていて、
大衆の好奇心を満足させるシリーズだったと思われます。

タイトル部分が和時計の形になっているのもオシャレですね。

「卯ノ刻」ということは「明け六つ」。
当時は夏と冬とで一刻の長さが違う不定時法でしたので、
今の時間で言うと午前4時から6時半くらいでしょうか。

大門の木戸が開き、昨夜、お泊りのお客は
チェックアウトのお時間。
お相手の遊女が客の帰り支度を手伝って、
羽織を着せかけているところです。

寝起きで着崩れた様子も色っぽいお姐さんに、
また来てね、きっとよ、
なんて送り出されたら、もうたまらんですわ。

地味な縞の羽織の裏には達磨の絵が描かれています。
営業トークに鼻の下を伸ばした主の顔を、
あきれた様子で見上げています。

歌麿さんが活躍した時期は寛政の改革の最中で、
町人文化に対するお上の締め付けがきつかった。

着るものも、正絹はダメ、刺繍、絞りはダメ、
派手な柄、派手な色ダメと、うるさいこと。

それでも人と同じ格好はしたくない、ってんで
色々と工夫を凝らすのが江戸っ子の粋ってもんだ。

その一つに見えないところに凝る、
裏勝りというのがありました。
表は茶や鼠色の木綿の着物だけど、
裏地には町人の着用が禁止されている正絹を使って、
さらに派手で大胆な一枚絵を描いたりするのが流行ったみたいです。

この主様も今日は吉原にお泊りだと張り切って、
お気に入りの羽裏でキメてきたのでしょうね。

それにしてもこのお姐さん、
スラっと八頭身でスタイル抜群ですね。

着ている物もカラフルで可愛い。
合わせの表が菊で裏が桜、
その中の絞り染めの裾はまた違う布で縁どられています。
一番下の着物にも絞りと型の可愛い柄が染め抜かれています。
実に巧みで細かい描写、歌麿さんの真骨頂。

このシリーズは大首絵ではなく、
全身像なので着物の柄や着こなしなども
見どころの一つになっているのです。
男衆のみならず、
江戸の女子もおしゃれの参考にしていたかもしれませんね。

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次回も
『アート大好きカエル女史がナビする
カナブン流、歌麿美人画の旅』お楽しみにね!!