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ツッコミどころ満載ですけど、それも北斎さんの計算のうち?

みなさま、今回もグイグイひき込まれますよ。
『アート大好きカエル青野カエル的解釈の北斎・富嶽三十六景の旅』、
カエルと北斎さんが一心同体のようです!

北斎さんの心の呟きを偶然に聞いちゃったみたい、
そんなリアル感をお楽しみください。

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(北斎 富嶽三十六景「甲州三坂水面」) 

河口湖に映る逆さ富士を描いた作品です。
富士山の北面は、宝永火山の肌荒れがないので、とっても綺麗。

一方で、珍しく夏山を描いており、雪化粧をしていないスッピンの姿には、
吉田大沢の斜めに走る大きな傷がはっきりと見えて、
雪山の優美な姿とはひと味違う、荒々しさも感じます。

さて、今回はひとめ見ただけで、分かりやすくツッコめますね。
水面の富士山、雪積もってるし。逆さ富士、ズレちゃってますけど。

当然わざとなんですが、今回はいつもより「わざと」がすごい。

いつもは絵をより美しく、あるいは面白くするために、縮尺を変えたり、
大袈裟に描いたり、見えないのに描いたりします。
富士山の角度などは、一番わかりやすくデフォルメされていますね。
本物はあんなにとんがってないですものね。

北斎は画狂人ですから、人物や馬や建物など見れば
分かる通り基本、デッサン重視で写実派です。
それをあえてデフォルメしたりして、面白く見てもらうために、
毎回趣向を凝らすのです。

では、「甲州三坂水面」の場合、どう面白がって欲しかったのか。

夏冬逆転と反射のずれ、一目瞭然の面白さはもちろん、
タイトルに注目するとより深く北斎の意図が汲めると思うのです。

「三坂」とは甲府盆地と東海道を結ぶ、
鎌倉往還の「御坂峠」のことでしょう。
この峠からの景色は、太宰治の「富嶽百景」に
美しく描写されているので引用しますね。


(wikipediaから画像引用〜御坂隧道からの眺望)

まんなかに富士があって、その下に河口湖が白く寒々とひろがり、
近景の山々がその両袖にひっそり蹲って湖を抱きかかえるようにしている。

昔から富士見の名所として知られていた御坂峠からの眺めは、
「菱富士」といって左右の山が河口湖を逆三角形に切り取り、
三角形の富士と合わさって平行四辺形を描く美しい風景です。

あまりの完璧な構図に、太宰は「注文通りの景色」「風呂屋のペンキ画」
「芝居の書割」と照れまくっています。
このような昔からの富士見の名所は完璧すぎて、ベタな風景と思う輩もいるのでしょう。
特に太宰みたいにひねくれた芸術家や、北斎のような奇想の天才にとっては、
なおのことかもしれません。

そういう訳で、北斎も名所からの富士は、
「ほーっ、これが「菱富士」ねぇ。なるほど菱型、面白い」
と思っただけで、描かなかった。

で、湖畔に降りてから、いいこと思いついちゃった!

名物の逆さ富士を見ようと、湖に浮かぶ「うの島」に上陸し、
頂上付近から富士山の方を見た時。
そのままベタに逆さ富士を描くのではなく、
ちょっとずらして「菱富士」にしてみたらどうだろう。
右の羽根子山と左の富士御室浅間神社の杜が、
両袖の山々の丁度いい見立てになっているし、
左右逆なのも洒落と分かりやすくてまた良し。
ついでに雪山バージョンの富士もサービスしちゃおう!

つまり、逆さ富士の名所で、御坂峠の名所絵を描いてしまおうというわけです。
そして出来上がったのが「甲州三坂水面」。

だからタイトルが「御坂峠」ではなく「三坂水面」という
意味ありげなものになったのではないでしょうか。
だって全然、御坂峠からの景色じゃあないのですから。
どう見てもこの絵の視点は、勝山集落沖からのものですものね。

このアイディア、余程気に入ったのか「青山円座松」でも使っていますね。
むしろ「青山円座松」の方が、御坂峠の風景に似ていると思います。

北斎さん、面白いこと考えましたね。

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カエルの旅、次回もどうぞお楽しみに!


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