岩下書店 | 復刻版浮世絵木版画専門店
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復刻版浮世絵木版画はホンモノじゃない???

今日は昨日より、
ちょっとポカポカと暖かく、
ホッとします。

さて、
数日前のこと、
知人に質問されました。

『復刻版浮世絵って、
本物じゃないんでしょ?』

はて?

そもそも、
本物って何をもって
本物というのだろう?

あらためて
自分の中にある
知識を整理したくなりました。

と同時に、
もう少しその人にお話を聞いてみると
あることが判明したのです。

浮世絵は、
1枚ものの肉筆画と
木版画で摺られたものがありますが、
あまりに緻密な描写だからでしょうか、
例えば、神奈川沖浪裏
北斎が直接、紙に描いて着色したものだと思われていたようです。
だから本物は1枚しか存在しないのでしょう?
ということでした。

ふむふむ
なるほど。
肉筆画であれば、1枚しか存在しませんよね。
しかし、
そのような誤解をするほど
浮世絵木版画ってスゴイ!ということです。

また、
江戸時代に摺られたものが「本物」で、
復刻版浮世絵木版画は「本物」じゃないのでは?
という話を耳にすることがあります。

江戸時代の浮世絵木版画を見ると
あぁすごい、これって江戸時代のものなんだ!
と嬉しくなるし、
ちょっと興奮したりもします。

江戸時代当時のものに
価値を感じるからこそ、
美術館で展示をするのですし、
コレクターさんもたくさんいらっしゃいますよね。

では、
現代の職人さんが
彫って摺っている
復刻版浮世絵木版画は
「本物」ではないのか?

しばし自問自答。

「そうなんです、本物じゃないんです」
いやいや、違うぞ。

「いえ、こちらも本物なんです!」
ムキになればなるほど、どこか違和感。

なんでしょうね、
本物か
本物ではないのか。

江戸時代のものに
最大の価値を感じる方にとっては、
当時のものが「本物」。

復刻版浮世絵木版画の良さを
感じる方にとっては、
こちらも「本物」。

正直にお話をすると、私も
このお仕事に携わる以前は
昔の作品が「本物」だと思っていました。
当たり前のように。
良い、悪いではなく、
そういうものなんだなって。

しかし、
彫師さん摺師さん
お仕事内容を知れば知るほど
本物か本物じゃないのかという概念は消えました。

職人さんたちの作業は
江戸時代も現代も全く同じ。
同じようにコツコツと
硬い山桜の版木に向かい、
指を使い、
腕を動かし、
目を向ける。

江戸時代の職人と
現代の職人、
仕事に向ける思いに
本物も本物じゃないも「無い」と感じます。

何が本物か?
この話に終わりはないのかもしれませんね。
なぜなら、その人が思う
「本物」ならば、
それが「本物」だと私は思うのです。